クリストファー・ノーラン監督最新作(いろいろな意味で賛否を巻き起こした)、
『オッペンハイマー』を Blu-ray で鑑賞しました。
2024年のアカデミー賞を受賞した作品ですが、その感想を書きたいと思います。
アカデミー賞を取れた理由
「原爆の父」オッペンハイマーを主役に据えたことで、
被爆国である日本では、未公開の可能性もありました。
本作がアカデミー賞を受賞できた理由は、原爆の是非にはありません。
ずばり「赤狩り」を痛烈に批判しているからです。
第二次大戦終結後、ソ連に対する恐怖心から、
共産主義者を告発し、罰する運動が全米で起きました。
この動きに、ハリウッドも影響を受けました。
「共産主義者」のレッテルを貼られ、ハリウッドから追放された、
映画関係者は数が知れません。
この「赤狩り」という運動は、今でもハリウッドの汚点として記憶されています。
故に、赤狩りをテーマにすると受賞する可能性が高くなるのです。
原爆の是非については、受賞とあまり関係がないと思います。
(私見ですが……)
映画としてどうなの?
私は Blu-ray を吹き替えで観ました。
ある Youtuber さんが「情報量が多いから吹き替えで観た方がいい」と、
おっしゃっていたので、それを参考にしました。
とかく「難解だ」と言われる本作ですが、
私の個人的感想は「想像していたより分かり易い」でした。
ノーラン監督の作品なので、時系列が入り乱れていますが、
ルールを事前に調べていたのが、良かったのかもしれません。
カラーと白黒のルールは、
▲カラーはオッペンハイマーの主観、
★白黒がストローズの主観、
と私は理解しました。
トリニティ実験の成功は知っていたので、
そのシーンに対する興味はあまり持てませんでした。
オッペンハイマーに対する諮問委員会の展開には、
映画らしい仕掛けがあって、サスペンスとしても楽しめました。
また、ラストのアインシュタインと会話が効いています。
「映画を観た!」という満足感を得られました。
まとめ
賛否ある映画ですが、私は「映画」として優れていると思います。
純粋に娯楽作品として観ても面白いし、
ノーラン監督の主張として「広島・長崎への原爆投下は間違いだった」と、
かなり明確に示されています。
唯一の欠点を上げるとすれば、
主人公のオッペンハイマーにまったく共感できない点でしょうか?
(特に前半)
高慢な自信家で、女癖が悪く、独善的な仕切屋、
ずばり「嫌な奴」なんです。
故に、原爆投下後の憔悴が引き立つのですが、
私は彼のことを好きにはなれませんでした。
高密度の情報の乱れ打ち、そんな映画に抵抗がなければ、
観て高い満足度が得られる映画だと思います。
果たして貴方はどんな解釈をするでしょうか?
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