『口に関するアンケート』を読みました。

ドキュメンタリー形式の作風で知られる作家「背筋」さん

私は初めて手に取ったのですが、
『口に関するアンケート』を読みましたので、感想とご紹介をしたいと思います。

ネタバレすると面白さが半減してしまうので、
ネタバレなしで紹介していこうと思います。

「アンケート」が秀逸

短い本ですので、物語自体はひねりの効いた怪談物、
という印象でした。

コンパクトにまとめながらも、読みやすい文章と相まって、
怖い話になっています。

ここまでだと普通の怪談物なのですが、
巻末についているアンケートに仕掛けがあります。

これに答えていくと、最後にもう一押しゾッとする仕掛けです。
その後、背表紙を見ると納得するという、
何処までも工夫が行き届いた作品でした。

引き込まれる語りの文体

物語は肝試しに行った大学生たち、それぞれの録音から成り立っています。
このあたりの設定も、現代風で興味を引く仕掛けになっています。

また、それぞれの個性が出る語り口も上手く、
登場人物の書き分けがよくできている印象でした。

「今、誰が話してるんだっけ?」という混乱がなく、
スムーズに話に入っていけます。

私は、この小説がどういった内容か、まったく知らずに購入しました。
(最初、口臭に関する話かと思っていたほどです)

スティーブン・キングなどもそうですが、最初は日常のディティールを詰めて、
次第に不安感を高めるという手法は見事だと思います。

特に、当初は何でもない単なる肝試しだと思っていたものが、
それぞれの不協和音を奏でだす話運びは秀逸です。

「大学生なら、こんなことをしそうだな」とか、
「そういう立場になれば、こんなことするよね」など、
登場人物たちに共感するところも、上手いなぁと思いました。

短い本なので、ネタバレは避けて!

仕掛けのインパクトが大事な小説ですので、
ネタバレしてしまうと面白さが大幅減になります。

つい、ネットで調べてみたくなるのが常ですが、
ここはグッと我慢。

値段も昨今の本の中では手に取りやすい価格なので、
興味を持ったら、手に取ってしまうのがおススメです。
(私の紹介で、「読んでみようかな」と思って頂けたら幸いです)

サイズも小さいので、友達と貸し借りしてもいいかもしれません。
そして、アンケートには答えることをお勧めします。

まとめ

以上、簡単ながら『口に関するアンケート』をご紹介しました。

語られていない部分もありますので、
考察好きの方にも向いている小説かと思います。

蛇足ですが、装丁が見事ですね。
そして、タイトルのつけ方も。

パッと見たときに、何か惹かれるものがあり、
Kindle で買ってしまいました。

背表紙は、最後まで読んだ後に見ると、
味わいが一段増しますよ。

暑い時期も過ぎましたが、背筋をゾッとさせたい気分の時に、
一気読みできる秀作でした。

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